製造DXコラム

公開日: 2026.1.23

最終更新日: 2026.1.22

工程管理

リードタイム・タクトタイム・サイクルタイムの違いとは?計算式と短縮・改善のポイントを徹底解説

製造現場の管理において、避けては通れない「リードタイム」「タクトタイム」「サイクルタイム」という3つの用語。

これらは日常的に飛び交う言葉ですが、「それぞれの違いを、新入社員にもわかるように説明してください」と言われたら、言葉に詰まってしまうことはないでしょうか。あるいは、定義は知っていても、「現場改善にどう活かせばいいのか」という運用面で悩まれている方も多いかもしれません。

実は、これらの指標は単なる用語の違いではなく、「誰のために」「何を見るための数字か」という視点がまったく異なります。ここを混同したままでは、どんなに改善活動を行っても成果は限定的になってしまいます。

本記事では、これら3つのタイムの定義と違いを整理し、現場ですぐに使える計算式、そして数値を活用して生産性を高めるための改善ポイントまでを、流れに沿って解説します。

リードタイム・タクトタイム・サイクルタイムの違い

まずは、3つの言葉が持つ意味を整理しましょう。ポイントは「誰の視点に基づいた指標なのか」という点です。

リードタイムとは

リードタイム(LT:Lead Time)とは、着手から完了までの「期間」のことです。

製造業においては、一般的に「発注から納品まで」の時間を指します。

  • 製造リードタイム: 材料投入から製品完成まで
  • 調達リードタイム: 部品発注から納品まで

この数字が重要になる相手は「顧客」です。「いつ届くのか?」という顧客の問いに対する答えであり、この期間が短ければ短いほど、納期回答が早くなり顧客満足度は向上します。

タクトタイムとは

タクトタイム(TT:Takt Time)は、別名「ピッチタイム」とも呼ばれ、「製品1個を作るためにかけられる目標時間」を指します。

語源はドイツ語の「Takt(指揮棒・拍子)」。オーケストラが指揮者のタクトに合わせて演奏するように、工場も「市場の需要(売れるスピード)」に合わせて生産ペースを決める必要があります。「1分に1個売れるなら、1分に1個作る」のが基本です。

つまり、これは現場の能力ではなく、「市場から求められている生産ペース」を示す指標です。

サイクルタイムとは

サイクルタイム(CT:Cycle Time)は、「実際に製品1個を作るのにかかった時間」です。

作業者が部品を手に取り、加工・組み立てを行い、次の工程へ渡すまでの「実測値」を指します。

タクトタイムが「目標」であるのに対し、サイクルタイムは「現場の実力値」そのものです。

【一覧表】3つの指標の違いまとめ

ここまでの内容を整理すると、以下のようになります。この違いを頭に入れておくことで、後の計算や改善の話がスムーズに理解できます。

用語英語表記誰の視点?何を示す?
リードタイムLT:Lead Time顧客発注から納品までにかかる期間の長さ
タクトタイムTT:Takt Time市場(需要)需要を満たすための、1個あたりの目標時間
サイクルタイムCT:Cycle Time現場(実績)実際に1個作るのにかかった実力値

リードタイム・タクトタイム・サイクルタイムの計算式と求め方

それぞれの役割が理解できたところで、「では、実際にどう計算するのか?」というステップに進みましょう。具体的な数字を使ってシミュレーションしてみます。

タクトタイムの計算式

タクトタイムは、「稼働できる時間」を「作らなければならない数」で割ることで算出されます。

タクトタイム = 稼働時間 / 必要生産数

【計算例】

例えば、ある工場の条件が以下の場合を考えてみましょう。

  • 1日の定時稼働時間: 8時間(休憩1時間を除き、実働420分)
  • 1日の注文数(必要生産数): 420個

420分×60秒/420個 = 60秒

この場合、タクトタイムは「60秒」となります。

これは、「60秒に1個のペースで完成品を送り出せば、残業なしで注文を完納できる」ということを意味します。これが、このラインが目指すべき基準となります。

サイクルタイムの計算式と測定方法

一方、現場の実力を測るサイクルタイムはシンプルです。

サイクルタイム = 実際の稼働時間 / 生産実績数

一般的には、ストップウォッチなどで「作業開始」から「作業完了」までを複数回計測し、その平均値をとります。また、熟練工ではなく標準的な作業者が無理なく行える時間を「標準サイクルタイム」として設定することもあります。

リードタイムの構成要素

リードタイムの計算は少し複雑です。なぜなら、単純な「加工時間の合計」ではないからです。

リードタイム = 加工時間 + 停滞時間(運搬・待ち・検査・在庫)

ここで非常に重要なのが、「停滞時間」の存在です。

実は、製品が工場にある時間のうち、実際に加工されている時間はごくわずか。大半の時間は、次の工程を待っていたり、運ばれていたりする「停滞」の状態にあります。この事実が、後の改善策において大きな鍵を握ります。

タクトタイムとサイクルタイムの関係性とボトルネックの発見

計算によって「目標(タクトタイム)」と「実力(サイクルタイム)」という2つの数字が出揃いました。

生産管理において重要なのは、この2つの数字のバランス(ギャップ)を見ることです。

理想の状態と現実のギャップ

基本的には、サイクルタイム<タクトタイム(実力が目標を上回っている状態)を目指しますが、バランスが崩れると以下のような問題が起きます。

  1. サイクルタイム > タクトタイム(実力が足りない)
    • 状態: 作るスピードが、注文のペースに追いついていません。
    • 結果: 欠品、納期遅延、それを挽回するための残業や休日出勤が発生します。
    • 対策: 後述する「サイクルタイムの短縮」が必要です。
  2. サイクルタイム < タクトタイム(早すぎる)
    • 状態: 注文以上に早く作りすぎています。
    • 結果: 一見良いことに見えますが、実は「作りすぎのムダ」です。在庫が増え、キャッシュフローが悪化し、保管スペースを圧迫します。
    • 対策: 人員を減らすなどの調整が必要です。

全体の足を引っ張る「ボトルネック」

製品完成までに複数の工程(A→B→C)がある場合、注意が必要です。

1つの製品が完成するまでの総時間は各工程の足し算になりますが、「製品が完成するペース(生産能力)」は「最も遅い工程」で決まってしまうからです。これをボトルネックと呼びます。

例えば、下図のようにA・B・Cの工程があるとします。

  • A工程: 50秒
  • B工程: 70秒(一番遅い)
  • C工程: 45秒

お客様の要望(タクトタイム)が「60秒に1個」だとします。

AとCは間に合っていますが、B工程が70秒かかっているため、C工程に部品が届くのも70秒ごとになります。結果として、工場全体からは「70秒に1個」しか製品が出てきません。

つまり、ボトルネック工程(B)のサイクルタイムがタクトタイムを超えている限り、他の工程をいくら速くしても、全体の出荷ペースは上がらないのです。

生産のムダを省く!リードタイム・タクトタイム・サイクルタイムの各タイムを短縮・適正化する改善手法

現状分析ができたら、いよいよ具体的な改善アクションです。3つのタイムは性質が異なるため、アプローチも変える必要があります。

サイクルタイム短縮のアプローチ|作業そのものを速くする

サイクルタイムを縮めるには、個々の作業工程を見直す必要があります。

  • 動作経済の原則: 部品を手元に寄せる、両手を使うなど、作業者の「動き」のムダをなくします。
  • 治具・設備の改善: 位置合わせが不要な治具や、自動化設備の導入を検討します。

リードタイム短縮のアプローチ|「停滞」をなくす

一方、リードタイム短縮で効果的なのは、加工スピードを上げることよりも「停滞時間(待ち時間)」を削ることです。

  • 運搬の削減: レイアウトを変更し、工程間の移動距離をゼロに近づけます。
  • 仕掛品の削減: 工程間に溜まっている在庫(仕掛品)を減らすことで、モノの流れがスムーズになり、リードタイムが劇的に短縮されます。

タクトタイムのアプローチ|「同期」させる

タクトタイムは市場が決めるものなので、工場側で勝手に短縮するものではありません。

重要なのは、需要の変動に合わせて「サイクルタイムをタクトタイムに合わせにいく(同期させる)」ことです。

需要が増えたら人を増やし、減ったら人を減らす。この「変動対応力」こそが、変化の激しい現代の製造業に求められる強さです。

正しい改善は「正確なデータ収集」から始まる

ここまで、計算式や改善手法について解説してきましたが、これらを実行に移そうとした時、多くの現場管理者様がある共通の壁に直面します。

それは、「そもそも、現場の正確なデータが取れていない」という問題です。

「日報が手書きで、集計するまで昨日の実績がわからない」
「作業者によって計測のバラツキがあり、サイクルタイムの平均値が信用できない」
「どの工程で『停滞』が起きているのか、可視化されていない」

不正確なデータを元に計算したタクトタイムやサイクルタイムは、誤った判断を招きかねません。

そこで今、こうした「アナログ管理の限界」を突破するために導入が進んでいるのが、実績収集のデジタル化(DX)です。

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正確な数値を手間なく収集し、改善サイクルを加速させるツールとして、弊社が提供する製造現場向けクラウドサービス「Smart Craft」をご紹介します。

【Smart Craftが現場の課題をどう解決するか】

  1. リアルタイムでのデータ収集
    タブレットやスマートフォンを使った直感的な操作で、作業実績をその場で記録。手書き日報の集計タイムラグをなくし、「今」のサイクルタイムを正確に把握できます。
  2. リードタイムロスの特定
    工程ごとの進捗状況が可視化されるため、どこでモノが止まっているか(停滞時間)が一目瞭然になります。これにより、リードタイム短縮のための的確なアクションが可能になります。
  3. ボトルネックの早期発見
    タクトタイムに対して遅れている工程を即座に特定。問題が大きくなる前に手を打つことができ、納期遅延のリスクを最小限に抑えます。

「勘と経験」に頼る管理から脱却し、正確なデータに基づく生産性の高い工程管理を実現します。その基盤となるのがSmart Craftです。

まとめ

本記事では、製造業の重要指標である3つの用語について解説しました。

  • リードタイム(顧客視点): 納期遵守のための期間
  • タクトタイム(市場視点): 需要に合わせるための目標ペース
  • サイクルタイム(現場視点): 現場の作業実力値

これらは密接に関係しており、どれか一つでも欠ければ適切な生産管理はできません。

まずは、自社の現場でこれらの数値が「正確に」把握できているか、見直すことから始めてみてください。現状を正しく知ることが、生産性向上の第一歩です。

現場のデータ収集を自動化し、確実な改善につなげたい方は、ぜひSmart Craftをご検討ください。

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