製造DXコラム

公開日: 2026.4.8

最終更新日: 2026.4.4

工程管理

工程管理で歩留まり改善!計算式・原因・直行率まで徹底解説

「材料費が高騰する中、少しでも廃棄ロスを減らしたい」

「最終検査での不良は減ったが、工程内での手直しが頻発しており、生産効率が上がらない」

製造業の現場管理者や経営者の方々にとって、「歩留まりの改善」は利益確保に直結する永遠の課題です。しかし、対策を講じようにも「どこで、なぜ不良が発生しているのか」を正確に把握できず、経験と勘に頼った対症療法を繰り返してしまっている現場も少なくありません。

本記事では、製造業における「歩留まり」の定義を改めて整理し、混同されがちな「直行率」などの重要指標との違いを解説します。その上で、アナログ管理の限界を乗り越え、工程管理システムの活用によって歩留まりを改善するための具体的な5つの手順をご紹介します。

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目次

「歩留まり」とは

製造現場において日常的に使われる「歩留まり」という言葉ですが、改善活動を成功させるためには、その定義と計算式、そして関連する指標との違いを正しく理解しておく必要があります。

歩留まりの定義と基本的な計算式

歩留まりとは、投入した原材料や素材の量に対して、最終的に得られた良品の割合を示す指標です。一般的には以下の計算式で求められます。

  • 歩留まり(%) = 良品数 ÷ 原材料投入量(または投入数) × 100

例えば、100個分の材料を投入し、最終的に95個の良品が完成した場合、歩留まりは95%となります。残りの5%は、加工ミスによるスクラップや端材など、利益を生まない「ロス」となります。

この数値を1%でも向上させることは、材料費の削減(原価低減)に直結するため、工場経営における重要なKPIとなります。

混同しやすい「良品率」「不良率」「直行率」の違いと使い分け

歩留まりを改善するためには、単に「最終的に何個できたか」を見るだけでは不十分です。現場の実態をより正確に把握するために、以下の指標を区別して管理することが重要です。

  • 良品率・不良率
    検査工程において、検査した総数に対する「合格品(良品)」または「不合格品(不良品)」の割合です。これらは「検査時点での品質」を示しますが、その良品が「一度で合格したのか、手直しを経て合格したのか」までは分かりません。
  • 直行率
    工程に投入された製品が、一度も手直しや再検査を受けることなく、ストレートに最終工程まで良品として通過した割合を指します。

ここで注意すべきなのは、「良品率が高くても、直行率が低い場合がある」ということです。

例えば、最終検査での良品率が99%だとしても、そのうち半数が工程内で手直し(リワーク)されていたとしたらどうでしょうか。手直しのための人件費、設備稼働費、エネルギーコストという「見えないコスト」が余計にかかっていることになります。

真に利益率の高い工場を目指すなら、単なる「歩留まり」だけでなく、この「直行率」を工程管理の指標としてモニタリングし、手戻りのない生産プロセスを構築する必要があります。

なぜ「工程管理」が歩留まり向上のカギを握るのか

歩留まりや直行率が悪化する原因は、材料の質だけではありません。「設備の設定ミス」「作業手順のばらつき」「金型の摩耗」など、製造プロセス(工程)の中に潜んでいます。

結果としての「不良品の数」だけを記録していても、根本的な解決にはなりません。「どの工程で」「いつ」「誰が」「どのような条件で」加工した時に不良が発生したのか。このプロセスそのものを管理(工程管理)できて初めて、不良発生のメカニズムを解明し、再発を防止することが可能になります。

つまり、歩留まり改善とは、精度の高い「工程管理」を実践することなのです。

歩留まり改善がもたらす経営へのインパクト

歩留まりの改善は、単なる材料コストの削減にとどまりません。

  1. 原価低減: 材料費、廃棄コストの削減
  2. 生産能力の向上: 手直し時間の削減によるリードタイム短縮、設備稼働率の向上
  3. 品質リスクの低減: 工程の安定化による市場流出不良の防止

これらはすべて工場の利益率を押し上げる要因となります。特に薄利多売になりがちな量産工場において、歩留まり改善による利益インパクトは、売上増によるインパクトよりも大きい場合が多々あります。

製造現場で歩留まりが悪化する4つの主要因

歩留まりを改善するには、製造業の4M(Man, Machine, Material, Method)のどこにボトルネックがあるかを特定する必要があります。多くの現場では、以下の4つが複合的に絡み合っています。

1. 「人」の要因:作業のバラつきとヒューマンエラー

熟練工と新人作業者で、製品の仕上がりに差が出ることはないでしょうか。

「コツ」や「カン」に依存した属人化された作業現場では、作業者によって品質にバラつきが生じます。また、単純な確認ミスや作業手順の飛ばしといったヒューマンエラーも、歩留まりを下げる大きな要因です。特に、手書きの日報や帳票作成に追われている現場では、記録作業への負担が集中力を削ぎ、ミスの誘発につながるケースも散見されます。

2. 「設備」の要因:突発的な停止と条件変動 

設備の老朽化やメンテナンス不足によるチョコ停・ドカ停は、加工条件を不安定にさせます。また、刃具の摩耗などに気付かず加工を続けることも、大量不良の要因となります。

3. 「材料」の要因:ロットごとの品質不均一 

投入する材料自体の品質に問題があるケースです。受入検査をすり抜けた不良部材が工程に流れると、いくら加工が完璧でも製品は不良となります。

4. 「方法」の要因:アナログ管理による情報の遅れとブラックボックス化

多くの現場で最も深刻なのが、管理方法(Method)の課題です。

日報が紙やExcelで管理されている場合、「不良が発生した」という事実が管理者に伝わるのは翌日以降になることが一般的です。このタイムラグの間、現場では不良品を作り続けてしまうリスクがあります。

また、「いつ、どのロットで不良が出たか」を後から追跡しようとしても、膨大な紙の帳票から該当データを探し出すのは困難です。結果として原因究明が曖昧なまま生産が再開され、同じ不良を繰り返す――これが、歩留まりが改善しない現場の典型的な「ブラックボックス化」した状態です。

工程管理で歩留まりを改善する具体的ステップ【実践編】

歩留まりや直行率の悪化要因が特定できたら、次はそれを改善するためのアクションに移ります。ここでは、システム導入を見据えた、成果に繋がりやすい5つのステップを紹介します。

ステップ1:現状の数値化(「どんぶり勘定」からの脱却)

改善の第一歩は「正しい現状把握」です。「なんとなく不良が多い気がする」といった感覚的な管理ではなく、各工程の投入数、良品数、不良数、手直し数を正確に記録し、数値化することから始めます。

正確なデータがあって初めて、改善前後の効果検証が可能になります。

ステップ2:ボトルネックと不良発生源の特定(リアルタイム可視化)

全体の数値が見えてきたら、どの工程が足を引っ張っているか(ボトルネック)を特定します。

ここで重要なのは、「リアルタイム性」です。一日の終わりにまとめて集計するのではなく、異常が発生したその瞬間に検知できる仕組みを作ることで、被害の拡大を最小限に食い止めることができます。

ステップ3:作業手順の標準化と徹底(属人化の解消)

特定したボトルネック工程において、作業者による手順のバラつきがないかを確認します。

ベテランの「コツ」を形式知化し、誰がやっても同じ品質で作業できるよう、作業標準書やマニュアルを整備・徹底させることが、品質安定化の近道です。

ステップ4:PDCAサイクルの高速化(データに基づく改善)

対策を実行したら、その結果を再度データで確認します。

工程管理システムを活用すれば、日々の実績が自動で集計・グラフ化されるため、集計作業に時間を取られることなく、改善策の立案と実行(Action)に集中できます。このPDCAサイクルを高速で回すことこそが、歩留まり向上の最短ルートです。

ステップ5:トレーサビリティの確保(原因究明の迅速化)

万が一、市場や後工程で不良が発覚した際に備え、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保しておくことも重要です。

どのロットの部材を使い、どの設備の、どの条件で加工されたものかを瞬時に特定できれば、対象範囲を限定して回収や対策を行うことができ、無駄な廃棄ロスを抑えることができます。

関連記事:
トレーサビリティとは?意味や管理方法、主要技術について解説

アナログ管理の限界とシステム導入のメリット

ここまで紹介したステップを、紙やExcelだけのアナログ管理で実践するのは難しく、時間がかかります。

具体的にどのような難しさや、システム導入した場合のメリットがあるのでしょうか。

紙・Excel管理では「不良の予兆」に気づけない

手書きの日報では、情報の記入漏れや字の読み間違いが発生しやすく、データとしての信頼性が低くなりがちです。また、Excelへの転記作業が必要なため、データが可視化されるまでにどうしてもタイムラグが発生します。

これでは、「今起きている異常」に対処できず、翌日になって「昨日、不良が大量に出ていた」と気づくという、後手後手の対応になってしまいます。

工程管理システム導入で実現する「予防保全」と「品質管理」

システム(MESなど)を導入すれば、設備の状態や検査データをデジタルで記録できます。

例えば、検査数値の推移をモニタリングし、「規格内だが上限に近づいている」といった不良の予兆を捉えることで、不良品が出る前に設備の調整を行う「予防保全」が可能になります。

デジタル化がもたらす「現場の見える化」とは

デジタル化の最大のメリットは、工場全体の状況が「手に取るように見える」ことです。

管理者は事務所にいながら、現場の進捗や不良発生状況をリアルタイムに把握でき、現場への適切な指示出しが可能になります。このスピード感こそが、競争力の源泉となります。

【事例紹介】不良率が半減!リアルタイムな工程管理で「原因特定」を迅速化

実際に工程管理をデジタル化することで、製造現場の品質改善を実現した日進精機株式会社様(自動車部品等の精密切削加工)の事例をご紹介します。

改善前の課題:紙帳票への記録や集計に工数がかかり、データを生かした業務改善がなかなか進まない

同社では以前、1日あたり70〜80枚にも及ぶ紙の日報や品質記録を運用していました。紙に記録された内容は、間接部門が翌日以降にExcelへ転記・集計するため、製造現場が結果を確認できるのは「翌月」になってしまうこともありました。

このタイムラグにより、現場は大きく2つのリスクに直面していました。一つは、対策が遅れて不良品の影響範囲が拡大し続けてしまうこと。もう一つは、「原因は分からないが、いつの間にか事象が収まってしまう」ことです。

後者の場合、なぜ直ったかが分からないため根本的な再発防止策が打てず、同じトラブルを繰り返すリスクを抱えたまま生産を続けるという状態に陥っていました。

取り組み:Smart Craftで「今」を見える化

現場の負担を減らし、リアルタイムに状況を把握するため、Smart Craftを導入。 「マニュアル不要なほどシンプルで直感的な操作性」が決め手となり、現場担当者からの提案で導入が決定しました。ITに不慣れな作業者でもスムーズに移行でき、製造実績や品質記録のデジタル化を実現しました。

成果:工場の平均不良率が半減

現場で入力したデータがリアルタイムに反映されるようになったことで、異常発生時にすぐに対処できるようになりました。 以前は月次報告まで待っていた改善サイクルが、「今日出た課題に対して、翌日にはもう改善が進み始めている」というスピード感へ変化 。 データに基づいて具体的な打ち手を打てるようになった結果、工場の平均不良率が半減しました。

▼本事例の詳細はこちらの記事をご覧ください

https://smartcraft.jp/case/nissinseiki

まとめ:歩留まり向上は「正しい工程管理」から。まずは現場のデジタル化を

歩留まりや直行率の改善の近道は、「現場の実態を正確かつリアルタイムに把握すること」に尽きます。

4Mの変動要因をコントロールし、不良の芽を早期に摘み取るためには、紙やExcelといったアナログ管理から脱却し、デジタルツールを活用した機動的な工程管理体制への移行が不可欠です。

まずは自社の現場が「見えているか」を問い直し、できるところからデジタル化の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

サービスの詳細資料や導入事例もご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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