ブログ

公開日: 2024.7.3

最終更新日: 2024.7.3

ナレッジ

ERPとMESの違いとは?それぞれの役割と効果的な連携のポイントを解説

近年、製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。グローバル競争の激化、顧客ニーズの多様化、熟練工の退職に伴う技術継承の課題など、製造現場では生産性の向上が急務となっています。このような状況の中、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためには、統合基幹業務システム(ERP)と製造実行システム(MES)の役割を理解し、自社に最適なシステムを導入することが不可欠です。

この記事では、ERPとMESの違いを整理し、両者の連携の重要性を踏まえつつ、製造業のDXを支える上で押さえておくべきポイントを解説します。自社の課題解決に向けた指針として、是非参考にしてください。

また、弊社ではデータ収集・入力の負担の少なさと多様な端末対応が特長の製造業特化のクラウド型の製造実行システム(MES)「Smart Craft」(スマートクラフト)を提供しています。詳しくは資料で紹介しています。⇒資料のダウンロードはこちら

ERPとは

ERPとは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略であり、企業活動に必要な人材、設備、資金、情報などの経営資源を一元管理し、経営の効率化を図るための統合情報システムを指します。具体的には、財務会計、販売管理、在庫管理、生産管理、購買管理、人事管理など、企業の基幹業務を幅広くカバーし、リアルタイムでデータを共有・活用することで、業務プロセス全体の最適化を実現します。

製造業にとってERPは、部門間の情報共有を促進し、業務の効率化とコスト削減に大きく寄与するシステムです。例えば、受発注から納品までの一連のプロセスをERPで一元管理することで、業務の自動化、納期の短縮、在庫の適正化などが可能になります。また、財務データと連動させることで、リアルタイムでの原価管理や収益性の把握にも役立ちます。

ただし、ERP導入の成否は、自社の業務プロセスとの適合性や、関連部門の巻き込みなど、綿密な事前準備にかかっています。単にシステムを導入すれば効果が出るわけではなく、業務の棚卸しとBPR(業務プロセスの見直し)が必須です。加えて、現場の理解と協力を得ながら、段階的に機能を拡張していく柔軟な姿勢も重要です。

MESとは

次に、MESについて説明します。MES(Manufacturing Execution System、製造実行システム)とは、製造現場のオペレーションを最適化するためのシステムです。製造オーダーに基づき、必要な情報を作業者に配信し、工程の進捗管理や品質管理、設備の稼働監視などをリアルタイムで行います。

ERPが経営層や管理職層の意思決定を支援するのに対し、MESは製造現場の管理職層や作業者層に直結するシステムです。現場で発生するリアルタイムデータを収集・分析し、タイムリーな意思決定を可能にすることで、生産性の向上、品質の安定化、リードタイムの短縮など、製造業の本質的な課題解決に貢献します。

特に、IoTの普及に伴い、MESと製造設備やセンサーとの連携が進むことで、製造オペレーションのデジタル化と自動化がさらに加速しています。膨大なデータを収集・活用することで、製造プロセス全体の可視化と最適化が実現できるようになりました。

ただし、MES導入時には、現場の業務プロセスを詳細に分析し、どの工程でどのようなデータを収集するかを明確にしておく必要があります。漫然とデータを集めても現場の改善につながりません。課題解決に必要なデータを特定し、それを活用するための体制づくりとセットで進めることが肝要です。

以上のように、ERPとMESはそれぞれ製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に不可欠なシステムですが、両者の役割と違いを踏まえた上で、自社の目的に応じて段階的に導入・連携させていくことが重要です。

関連記事:
MES(製造実行システム)とは?役割や機能、導入メリットについて解説

ERPとMESの違い

前章で見てきたように、ERPとMESはともに製造業のデジタル化に欠かせないシステムですが、その役割と管理対象には大きな違いがあります。

ERPは、会計、販売、生産、購買、在庫など、企業の基幹業務プロセス全体を統合的に管理するシステムです。サプライチェーン全体の最適化を図るため、販売実績や在庫状況などをもとに、月次・週次の生産計画を作成します。

一方、MESは製造実行に特化したシステムで、ERPの生産計画を受けて、設備や作業者、材料などのリソースを最適に配分し、日次・時間単位の製造スケジュールを作成します。そして、リアルタイムに収集した製造実績データを分析し、計画通りに進捗しているかを監視します。

このようなERPとMESの主な違いについて、以下の表にまとめました。

比較項目ERPMES
役割企業の基幹業務プロセス全体の最適化製造実行プロセスの最適化による業務効率
管理の範囲基幹業務全体製造(実行)工程
管理単位月次、週次の計画日次、時間単位の実行計画とリアルタイム監視
主な活用者経営層、管理職層製造現場の管理職層、作業者層
扱うデータ販売実績、在庫状況など集計されたサマリー情報製造設備や作業者から収集した詳細な実績データ

両システムを単独で導入するだけでは製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)は不十分であり、ERPとMESを密に連携させ、全社レベルの計画と現場レベルの実行をスムーズにつなげることが肝要です。

製造業のDXを促進するERPとMESの連携

ERPとMESのシームレスな連携は、製造業のデジタル化と業務効率化に大きく寄与します。例えば、需要予測に基づいてERPが策定した生産計画をMESに展開し、資材所要量と実際の在庫量を同期させることで、過剰在庫や製品切れのリスクを防ぐことができます。また、MESから製造実績や設備稼働データをリアルタイムでERPにフィードバックすることで、より精度の高い需給調整が可能になります。

ここで押さえておきたいのは、ERPとMESをつなぐ際に、情報の粒度とタイミングを適切に調整する必要があるという点です。ERPは財務会計の視点から日次以上の単位で情報をまとめるのに対し、MESは製造オペレーションに則して分単位・秒単位といった細かいデータを扱います。この粒度の違いを、いかに整合的に接続するかが問われます。

加えて、マスタ情報の一元管理も重要なポイントです。部品表や工程表、作業者情報などは、ERPとMESで整合性を保ち、一箇所で更新すれば、そのデータが両システムに反映される仕組みが理想的です。そのためには、各マスタの定義を統一し、システム間で共通のコードや属性を持たせることが欠かせません。

こうしたERPとMESの連携を実現する上で、IoTやAIなどのデジタル技術の活用も視野に入れたいところです。製造設備にセンサーを取り付け、リアルタイムデータを自動収集することで、MESの管理の粒度を一段と高められます。そのデータをビッグデータ解析やAIで処理することで、設備故障の予兆検知や製造条件の自動最適化なども可能になるでしょう。

製造業に適したERPとMESの選定ポイント

製造業にとって、ERPとMESは業務プロセスに直結する重要なシステム投資です。だからこそ、自社の課題とニーズに適合したシステムを選定することが何より大切です。

選定の視点として、まず業務適合性が挙げられます。業界特性や商流に合わせてある程度カスタマイズできる柔軟性が求められます。加えて、拡張性と他システムとの連携のしやすさにも目を向けたいところです。特にMESは製造ラインの制御システムともつながるため、豊富なインターフェースを備えている点を重視すべきでしょう。

コスト面では、初期投資だけでなく、保守運用を含めたトータルコストで評価することが肝要です。クラウド型のシステムであれば、初期コストを抑えつつ、リモートでのサポートも受けやすいため、中長期的な導入・運用コストでメリットを享受できるでしょう。

また、ベンダーの製造業へのコミットメントと実績も見極めたいポイントです。業界のベストプラクティスが反映されたテンプレートの提供や、導入後の手厚いサポート、ユーザーコミュニティを通じたノウハウ共有など、単なるシステムの機能以上の価値を提供してくれるベンダーを選びたいものです。

この点、当社が提供するクラウドMES「Smart Craft」(スマートクラフト)は、製造業のDXを力強く支援するソリューションとして高い評価をいただいています。製造現場の課題に即した直感的な画面設計とデータ収集の自動化により、利用者の習熟度を問わず、スムーズな導入・運用が可能です。マルチデバイス対応により、タブレットやスマートフォンからもリアルタイムにデータにアクセスできるなど、いつでもどこでも現場の状況が把握できる点が特長です。

Smart Craftで製造現場のDXを
始めよう!

「Smart Craft」は、これひとつで工場内のすべての業務プロセスをデジタル化できます。

3分でわかるSmartCraft
  • Smart Craft でできること
  • 導入企業の活用事例
  • ご利用料金
  • 導入の流れ

まとめ

この記事では、製造業のDXに不可欠なERPとMESについて、その役割の違いや連携時のポイントを解説しました。製造業が競争力を維持・強化するためには、ERPとMESを両輪として、業務プロセス全体の最適化を推進する必要があります。

ただし、ERPとMESの導入は、ITシステムの選定・構築だけで完結するものではありません。現場の業務プロセスを可視化・標準化した上で、課題に即して必要十分な機能を段階的に実装すること、また運用面での担当者の役割分担とスキル習得に十分な時間をかけることが肝要と言えます。

加えて、自社の競争力の源泉は何か、DXで目指すべきゴールは何かを常に意識しながら、ERP、MES、そしてクラウドシステムといったデジタル技術の連携に戦略的に取り組むことが重要です。製造現場の生産性を向上させたいとお考えの製造業の皆様は、まずは資料請求からクラウドMES「Smart Craft」(スマートクラフト)の導入を検討してみてください。

Smart Craftで製造現場のDXを
始めよう!

「Smart Craft」は、これひとつで工場内のすべての業務プロセスをデジタル化できます。

3分でわかるSmartCraft
  • Smart Craft でできること
  • 導入企業の活用事例
  • ご利用料金
  • 導入の流れ

カテゴリ

ナレッジ