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公開日: 2023.10.13

最終更新日: 2024.2.23

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MES(製造実行システム)とは?必要性や機能、導入メリット、ERPとの違い

製造業の生産現場において、生産効率や品質管理の向上が成功の鍵を握っています。その中心に位置するのが「MES(Manufacturing Execution System、製造実行システム)」です。

MESの導入により、リアルタイムな進捗把握や製造コスト削減、部門間連携の強化といった効果が見込めることから、現場での導入が進んでいます。

この記事では、そんなMESの必要性や機能、導入による具体的なメリットなどについて詳しく解説します。さらに、MESとERP(Enterprise Resource Planning、企業資源計画)との違い、およびそれらがどのように連携するのかについても触れます。また、国内で主要なMESソリューションの一覧とその特徴も紹介します。

MESについての疑問や課題を解決し、より効率的な生産活動を実現するための第一歩として、この記事をぜひ参考にしてください。

MES(製造実行システム)とは何か

Manufacturing Execution System (MES: 製造実行システム)とは

部品在庫・製造工程進捗の可視化
生産計画に基づいた作業スケジュールの設計 
管理者・作業者への指示出し

MESとは、Manufacturing Execution Systemの略で、日本語で「製造実行システム」を意味します。具体的には、工程管理に近い位置づけで、生産計画から製造、品質管理までの一連のプロセスを効率的に管理し、生産効率を高めます。

MESの役割

工場内の各製造工程と密接に連携しています。その主な対象は、製造現場や在庫を管理する倉庫などです。このシステムは、生産ラインの稼働状況、在庫情報、品質データなどをリアルタイムで収集・分析し、管理者・作業者に対して適切な指示や支援を提供します

その結果、作業者の負荷が軽減され、工場全体の可視化が促進されるなど、多くの課題解決につながります。このような機能性と柔軟性により、MESは工場のスマートファクトリー化において中心的な役割を果たします。

MESと生産管理システムの違い

生産管理システムは、生産計画、在庫管理、品質管理などを一元的に管理するシステムです。一方で、MESは生産現場での具体的な作業指示や進捗、品質データをリアルタイムで監視・管理するシステムです。両者は密接に関連していますが、MESは特に「製造の実行」に焦点を当てています。

MESでできること(機能)

MES(製造実行システム)の機能は多岐にわたりますが、アメリカのMES推進団体MESA(Manufacturing Enterprise Solutions Association)は、MESの主要な機能を11項目で定義しています。

これらの機能は、製造する製品やプロセスによって必要なものが異なるため、企業は自らのニーズに応じて選択し、組み合わせて活用することが一般的です。

生産資源の配分と監視生産資源を適切に配分したり、状況を監視したりする機能。対象は生産装置・工具・技能・資材・その他設備や文書など
仕様・文書管理作業に必要となるドキュメントを管理。作業指示書・レシピ(配合表)・作業手順書・設計変更などの蓄積や編集を行う機能
設備の保守・保全管理生産設備や工具などの状態を管理し、定期保全・予防保全のスケジュールを作成・実行する機能
品質管理製品の検査結果や不良情報といった情報を統計的に収集・分析することで、適切な品質管理を行う機能
作業のスケジューリング生産計画に基づいて、作業者単位や設備単位など詳細なスケジュールを立案する機能
作業手配・製造指示生産投入を管理。オーダー・ジョブ・バッチ・ロットなどの形で、作業手配や製造指示をする機能
作業者管理作業者状況を監視する機能。作業者の作業状況、負荷状況などを踏まえたうえで、最適な作業割り当てを決定する
データ収集製造現場に関するデータや、各工程内の進捗状況を収集。生産の進捗状況や状態を管理する
プロセス管理生産の実行状況を監視して作業者の判断や意思決定を支援する機能
製品の追跡と生産体系管理原材料や製品、生産の途中工程で発生する仕掛品の場所と次の作業を把握する機能
実績分析生産の実行状況や実績データを蓄積。過去の履歴や計画と比較して、生産の最新状況を報告、管理する機能

<参考>
History of the MESA Models – Manufacturing Enterprise Solutions Association|MESA International

この11項目の機能には、例えば、生産スケジューリング、在庫管理、品質管理、設備管理、作業指示管理などが含まれます。これらの機能を効果的に組み合わせることで、生産効率の向上、品質の一貫性、コスト削減などが実現されます。

企業がMESを導入する際には、自社の製造プロセスや製品特性に合わせて、これらの機能をカスタマイズして活用することが推奨されます。それにより、MESの最大の効果を引き出し、競争力の向上を図ることが可能になります。

MESが注目される理由と必要性

経済のグローバル化とテクノロジーの進化が進む中で、製造業は新たな課題に直面しています。少量多品種の生産、リードタイムの短縮、高品質と精密性の維持など、従来の強みだけでは対応しきれない多様な要求があります。

このような状況で、MES(製造実行システム)が注目される理由とその必要性は何でしょうか。1つには、MESは製造プロセスをリアルタイムでモニタリングし、データを根拠とした意思決定を可能にする、という点があります。これにより、無駄を削減し、効率を高めることができます。また、品質管理と規制順守のためのトレーサビリティも強化されます。さらに、市場の変化に柔軟に対応するためのスケーラビリティが向上します

以上のように、MESは製造業において多角的な課題解決と効率化を実現するための不可欠なシステムです。これからのモノづくりにおいて、原料や納期、製造プロセスの管理が行えるMESの導入と活用は、今後さらにその重要性を増していくでしょう。

出典:MES導入時の製造マネジメント上の課題(株式会社日本政策投資銀行産業調査部)

MESとERPの違いとシステム連携のポイント

MES(Manufacturing Execution System)とERP(Enterprise Resource Planning)は、製造業において重要なシステムですが、それぞれが果たす役割と機能が異なります。

ここではそれらのシステムの違いと、どのように効果的に連携できるかについて詳しく解説します。

項目MESERP
目的製造プロセスの効率化と最適化企業全体の業務効率や利益のアップ
範囲製造プロセスが中心製造プロセスを含む経営全体
システムの使用者作業員や管理層コーポレート・バックオフィス部門
扱う情報やデータリアルタイムのレポート、生産進捗とパフォーマンスに関する最新情報日次、週次、月次の定期レポート
他システムとの連携工場現場の設備やERP、スケジューラーなどと直接連携CRM、会計などの他のシステムとの組み合わせ

MESとERPそれぞれの役割の違い

MESとERPの違いは、次の通りです。

MES: 主に製造現場における生産スケジューリング、品質管理、在庫管理といった各プロセスの可視化・管理を行うためのシステム
ERP: 経営資源計画(ERP)を立てるために、会計、人事などの情報やデータを一元化するシステム

MESはプロセスの効率化と最適化を目的とし、生産ラインのスケジューリングや進捗管理、データ収集と分析をリアルタイムに行います。一方で、ERPは企業全体の戦略的な計画と実行をサポートするために、より広範なデータと定期的な報告を提供します。

MESは短期的でリアルタイムな動向をつかむのに役立ち、ERPは長期的な計画や決断に適しています。そのため、多くの企業は最も幅広いデータの視点を得るために、両方のソフトウェアを併用しています。

効果的なシステム連携のポイント

ERP(Enterprise Resource Planning)とMES(Manufacturing Execution System)は、それぞれ異なる目的と機能で設計されていますが、これらを適切に連携させることで、企業や製造現場における生産性が向上する可能性が高まります。

  • ERPの特性:ERPは企業全体の多様な業務をカバーするため、CRM、会計、サプライチェーン管理などの他のビジネスシステムとの連携が複雑であることが多いです。
  • MESの特性:MESは製造プロセスに特化したコアシステム(基幹システム)であり、ERPやWMS(倉庫管理システム)、スケジューラー、設備といった多様な外部システムとも連携します。この多面的な連携がMESの一つの大きな特徴であり、それによって工場内の機器やセンサーとも直接連携し、リアルタイムでデータを収集・分析する能力が高まります。
<システム連携のポイント>
データ統合: ERPとMESの情報を一括管理することで、情報アクセスのスピードと透明性が向上します。
業務プロセスの統一: MESで取得した生産データをERPで活用することで、経営判断の精度が向上します。
システムの相互作用: ERPが他のビジネスシステムとの連携を持つように、MESも生産現場のデバイスやセンサーとの連携が必要です。
・拡張性と柔軟性: 両システムが提供するAPIやツールを用いて、特定の業務ニーズに合わせてカスタマイズが可能です。この柔軟性は、企業の変わる要件や市場の動きに迅速に対応するために不可欠です。

このように、ERPとMESはそれぞれ異なる特性と役割を持ちますが、これらを効果的に連携させることで、企業・製造現場全体の効率と生産性を高めることが可能になります。

次のセクションでは、MES(製造実行システム)を導入する6つのメリットについて詳しく解説します。

MES(製造実行システム)を導入する6つのメリット

MESを導入することで得られるメリットは、リアルタイムな進捗把握から製造コスト削減、部門間連携の強化に至るまで多岐にわたります。以下に、その主要な6つのメリットを詳しく解説します。

メリット①リアルタイムな進捗把握(工程管理)

MESを導入することで、現場の進捗状況をリアルタイムで把握することが可能になります。これにより、現場の巡回やホワイトボードに頼ることなく、離れた場所からでも進捗状況が見えるようになります。

メリット②品質向上・不良品の発生防止

MESの導入により、リアルタイムでの品質データ収集と分析が可能になります。これによって、製品の品質を一貫して維持し、不良品の発生を削減することができます。また、不良品が発生した場合には、データに基づいて迅速に原因を特定し、適切な改善策を講じることができます。

関連記事:
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メリット③業務コスト削減

MESは生産工程のボトルネックを明確にし、効率的な製造プロセスを設計します。これにより、無駄な作業が削減され、全体の運用コストが低減します。さらに、在庫の削減も可能であり、資源の効率的な利用が実現します。

メリット④部門間連携の強化

MESは製造部門に特化しているものの、物流部門(在庫連携)や設備関連部門(設備保全データ連携)といった特定の外部部門ともデータ連携が可能です。

この多面的な連携が特に価値を発揮するのは、在庫切れやトラブル時です。各拠点との連携が確実に行えるため、迅速かつ確実な対応が可能となります。一方で、購買や販売とは直接的なデータ連携は少ないです。

このような連携により、部門間での情報共有が強化され、業務運営がより効率的になります。

メリット⑤属人化の解消

MESの導入により、業務プロセスが明確化され、標準化が進みます。これにより、属人化が解消され、現場のノウハウがデータとして共有可能になります。新人教育の効率化や業務の標準化が進むことで、全体の生産性が向上します。

メリット⑥トレーサビリティの確立

MESによるデータ収集と分析は、製品のトレーサビリティを確立する上でも非常に有用です。リアルタイムでのデータ収集により、データ駆動の意思決定が可能となり、企業全体の対応力が高まります。

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国内の主なMES(製造実行システム)の比較ポイントと一覧

MESの導入は、製造業における生産性向上とコスト削減に大きな影響を与えます。しかし、その効果は選定するMESパッケージによって大きく変わる可能性があります。

ここでは、国内の主なMESの比較ポイントと一覧について解説します。

MES(製造実行システム)の比較のポイント

国内だけでも多くのMES(製造実行システム)がありますが、その中でどのようなシステムを導入するとよいのでしょうか。

MES選定において考慮すべき主要なポイントは以下の通りです。

ポイント①データ収集・入力の負担の少なさと多様な端末対応

製造工程において日々生まれる多くのデータをどれだけ効率的に収集・入力できるかどうかが、導入効果に直結します。特に、システムが多様な端末に対応しているかどうかが重要です。

一部のMESはPC入力に限定されているため、データ収集と入力に制限があります。しかし、「Smart Craft」のようなMESであれば、タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末での入力も可能です。これにより、入力インターフェースの見やすさと操作性が向上し、データ入力の負担が軽減されます。

さらに、IoTデバイスや既存の設備との連携もスムーズに行えるため、自動的なデータ収集が可能です。このような多様なデータ収集・入力方法が可能なシステムは、データ入力におけるエラーの軽減にもつながり、全体の業務効率を高めます。

ポイント②機能の対応範囲の広さ

多機能なシステムは、複数のシステムを導入する必要を減らし、一元的な管理を可能にします。例えば、生産管理から品質管理、在庫管理まで対応するシステムも存在するため、その対応範囲の広さも確認することが重要です。

ポイント③複数拠点への対応可否

拠点が複数ある場合は、拠点が離れていても稼働状況やデータを管理できるシステムが業務効率化において有効です。

例えば、クラウドMESの「Smart Craft」はクラウドベースであり、インターネットがあればどこからでもリアルタイムで進捗を確認することができます。さらに、CSVでのエクスポートが可能なため、データを他のシステムや拠点と簡単に共有できます。これにより、複数拠点での運用が容易になります。

クラウドMES「Smart Craft」の特徴や機能について詳しく見る

選定の際は、これらのポイントを比較検討することで、最適なMESを選ぶことが可能です。

国内の主なMES(製造実行システム)の一覧

国内の主なMES(製造実行システム)の一覧は次の通りです。

名称運用形態主な特徴
Smart Craftクラウド製造現場の見える化、データ活用、生産性向上
Techspire Mini-MESオンプレミス小規模製造業向け、低コスト、短期導入
IBMESオンプレミス/クラウドリアルタイムの生産状況監視、生産計画の最適化
実績班長オンプレミス多面的なデータ収集、装置連動による工場全体の可視化
Yokogawa MESオンプレミス生産効率向上、品質管理、トレーサビリティ
MEE MESオンプレミス生産性向上、IoT活用、データ分析
Hitachi Factrismオンプレミス生産効率向上、AI活用、データ分析
DELMIA Aprisoオンプレミスグローバルな生産管理、3Dシミュレーション
ProManageオンプレミス生産性向上、リアルタイム監視、データ分析
JNOVEL MESオンプレミス生産効率向上、品質管理、トレーサビリティ
Chuo Computer MESオンプレミス生産効率向上、品質管理、トレーサビリティ

例えば、Smart CraftのMESは、IoTデバイスとの連携が可能であり、これによってデータ収集と入力の負担が大幅に軽減されます。IoTデバイスから自動的にデータを収集することで、手動でのデータ入力やエラーが減少し、より正確なデータ分析が可能になります。

また、Smart CraftのMESは多機能であり、生産管理から品質管理、在庫管理まで幅広い業務プロセスに対応しています。このような広範な機能対応は、企業が複数のシステムを導入する必要を減らし、一元的な管理を可能にします。

効果的なMESの導入を通じて生産性向上を実現しましょう

この記事では、MES(製造実行システム)の必要性や機能、導入メリットなど、さらにはMESと他のシステムとの違いや連携方法、国内の主なMES(製造実行システム)の一覧までを詳しく説明しました。

MESは、製造業のデジタルトランスフォーメーションが進む中で、その重要性が高まっています。

生産効率の向上や品質管理の強化が求められる今だからこそ、効果的なMESの導入を通じて生産性向上を実現しましょう。

特に、Smart Craftのようなクラウドサービス(SaaSモデル)を採用したMESは、その汎用性と拡張性により、業務全体の効率と生産性を高めることができます。このSaaSモデルによって、導入コストを抑えつつ、迅速にシステムを活用することが可能です。

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加えて、Smart Craftはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末での利用が可能であり、入力インターフェースの見やすさと操作性が高い点も、他にはない特長です。これにより、データ入力の負担が軽減され、より多くの関係者がシステムを効果的に利用できます。

さらに、IoTデバイスとの連携も可能であり、データ収集と分析の精度が高まります。このような特長により、Smart Craftは製造現場のDXを加速しています。

・生産の記録を紙で行っているため、転記や集計に時間がかかる
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